⑪ はじめにの書き方~設計図①~
読者を最初のページで掴む「はじめに」の書き方
― 設計図①を、PASTORフォーミュラで「自分のための本だ」と思わせる ―
このテキストの位置づけ
「本の設計図テンプレート」の①、いちばん最初に読まれるパート――はじめにを深掘りします。
ただし、思い出してください。 はじめには、設計図の先頭にありますが、実際に書くのは一番最後です。
執筆順:コンセプトメモ → 本文 → おわりに → はじめに(←今ここ)
本文とおわりにを書き上げた今だからこそ、「この本は何を伝えたい本なのか」がはっきり言語化できます。
その状態で書くから、本文と一貫した、読者に刺さる「はじめに」が完成します。 (先に書いてしまうと、本文とのズレが出て、ほぼ100%書き直しになります。)
このテキストでは、読者を最初のページで掴む「はじめに」を、PASTORフォーミュラという型に沿って書く方法を解説します。
なぜ「はじめに」がそこまで重要なのか
理由は、はっきりしています。
読者が「この本を買うか・読み進めるか」を決めるのが、はじめにだからです。
Amazonの商品ページには「試し読み」機能があります。 あの試し読みで表示される範囲が、ほぼそのまま「はじめに」の部分です。
タイトルと表紙でクリックされる → はじめにを読んで購入を決める → 本編で納得し、レビューにつながる
この流れの中で、「購入の意思決定」を担っているのが、はじめにです。
ここがしょぼいと、どれだけ本編が良くても読まれません。
逆にここで「自分のための本だ」と思ってもらえれば、最後まで読まれる確率が一気に上がります。
さらに、はじめにはそのまま商品紹介文にも転用できます。
一度書けば2か所で機能する、コスパ最強のパートでもあります。
はじめにの役割は3つ
・どんな悩みを解決できるかを伝える
・読者にどんな変化が起こるかを示す
・「この本は自分のための本だ」と思わせる
「面白そう」だけでも、「役に立ちそう」だけでも弱い。
「自分に関係ありそう」と思わせることが、いちばんのゴールです。
いちばんやりがちな失敗
「はじめに」で初心者がつまずくパターンは、主に3つあります。
・いきなり本の説明から始める
「本書では〜を解説します」と、自分語り・内容説明から入ってしまう。
読者の悩みに触れる前に説明を始めると、 読者は「自分ごと」と感じられず離脱します。
・著者の自慢から入る
実績や肩書きを先に並べすぎると、「すごい人の話」になり、読者との距離が開きます。
・完璧に書こうとして書けない
「はじめにが書けない」と止まる人の多くは、本文より先に書こうとしています。
本文を書き終えてから書けば、すらすら書けます。
これらを避ける道しるべが、次のPASTORフォーミュラです。
PASTORフォーミュラの全体像
PASTORは、もともとセールスレターで使われる王道の型です。
これを書籍の「はじめに」に応用すると、読者の心を動かす序章が書けます。
PASTORの6文字は、それぞれ次を意味します。
・P(Problem):問題提起 ― 読者の悩みに切り込む
・A(Amplify/共感):「自分も同じだった」で距離を縮める
・S(Story/Solution):自分のストーリーと解決策
・T(Testimony/証言):他の人の証言で再現性を担保する
・O(Offer):本書のオファー ― 何が得られるか
・R(Response):最後の一押し
この順番で書くだけで、読者の感情は
「これは私のための本だ」→「この著者は信頼できる」→「読み進めたい」
と、自然に動いていきます。
ここから1つずつ、実例と記入欄で見ていきましょう。
🔗 ゼロから考えなくて大丈夫
このあとのA(共感)・S(ストーリー)や著者紹介で書く「かつての自分・弱さ・実績」は、
新しく考え出すものではありません。
「ペルソナ設計」編で棚卸しした素材と、
「著者ストーリーの書き方」編で組み立てた物語を、
ここでは序章用に短く凝縮して使うだけです。
(素材を出す → 物語にする → ここで要約して使う、という流れの「仕上げ」がこのはじめにです。
本文・著者ストーリーを書き終えてから取りかかると、すらすら書けます。)
P:問題提起 ― 読者の悩みを言語化する
最初のPは、読者の悩みをこちらから先に言葉にしてあげるパートです。
「こんなことに困っていませんか?」と、読者が頭の中で抱えるモヤモヤを先に言語化する。 これだけで読者は「あ、これは自分のことだ」と前のめりになります。
ポイントは、読者の人物像(ペルソナ)にちゃんと刺さる悩みを書くこと。
読者が自分でも言語化できていない感情まで踏み込むと、グッと刺さります。
◯ 実例(副業ジャンル)
「何か副業を始めたい。でも、何から手をつけていいか分からない」
「本業で精一杯で、時間もない」 気づけば、検索しては閉じて、また同じ悩みに戻ってきている――。
そんな毎日を、過ごしていませんか?
⚠️ ここでいきなり解決策を出さないこと。問題を浮き彫りにするだけのパートです。
【記入欄】P:読者の悩み(3つ書き出す)
A:共感 ― 「自分も同じだった」
問題を提起したら、次は共感です。 「実は、僕もかつて同じように悩んでいました」――このひと言で、読者と著者の距離が一気に縮まります。
大事なのは、今の実績ではなく「かつての自分」を見せること。
「すごい人」ではなく「かつてはあなたと同じだった人」として登場します。
弱さを開示することで、読者は「この人なら信用できそう」と感じます。
◯ 実例
副業で稼ぐと言われても、特別なスキルも人脈もない。
ネットの情報は多すぎて、どれも胡散臭く感じてしまう。
気になるけど、結局一歩が踏み出せない。
かつての私は、まさにそんな状態でした。
【記入欄】A:かつてのあなたが抱えていた、同じ悩み・弱
S:ストーリーと解決策 ― 失敗と転機を語る
ここが、はじめにの中でいちばん熱量を込めて書くパートです。
ダメだった過去 → 失敗談 → あるきっかけで出会った考え方 → 実践して変わり始めた瞬間
この流れで、自分のビフォーアフターを物語として見せます。
ポイントは、転機を「劇的すぎるもの」にしないこと。
「ある日突然、年収1億円に」では、読者は
「自分には関係ない世界の話だ」と離れてしまいます。
「自分にもできそうだ」と感じられる、等身大の転機を描いてください。
そして、その後に解決策の輪郭を見せます。
◯ 実例
転機は、ある一つの考え方との出会いでした。
「特別な才能ではなく、自分が当たり前にやってきた経験こそが、誰かの役に立つ」
半信半疑で、自分の転職体験を電子書籍にまとめてみたんです。
すると
この方法なら、初期費用もリスクもほとんどなく、コツコツ続ければ自分だけの資産が積み上がっていく。
そう実感できたのです。
【記入欄】S:あなたのストーリー
・ダメだった過去:
・出会ったきっかけ・考え方:
・変わり始めた瞬間:
・解決策の輪郭:
T:証言 ― 他の人の成果で再現性を担保する
ここが、「自分のことだけ語る著者」と「信頼を勝ち取る著者」の分かれ目です。
「自分以外の人」もこの方法で成果を出しているという証言を入れることで、「これは僕だから成功したのではなく、誰でも再現できる」というメッセージが伝わります。
属性の違う人の事例を3つほど並べると、再現性が一気に伝わります。
◯ 実例
会社員の傍ら、月5万円の副収入を得られるようになった人。
子育ての合間に書いた1冊が、ランキング上位に入った主婦の方。
電子書籍をきっかけに、仕事の依頼をもらうようになったフリーランス。
みなさん、特別な人ではありません。
【記入欄】T:あなた以外の人の成果事例(属性違いで3つ)
⚠️ ジャンル・状況による注意
・1冊目で事例がない場合は、ここは飛ばしてOKです。
Sの解決策から、そのままOの書籍オファーに進んで問題ありません。
事例ができたら、必ず入れましょう。証言の有無で、説得力は段違いに変わります。
・エッセイ・体験談ジャンルでは、Tは無理に入れません。
「他の人も成果を出した」という再現性は、成果を約束する実用書でこそ効く要素です。
エッセイや体験談では、ここを省くか、「同じように感じた人から、こんな声をもらった」
という共感ベースの声に 置き換えるほうが自然です。
O:オファー ― 本書で何が得られるか
ここで初めて、本書の中身に触れます。
ここまでで読者は
「悩みを言語化してもらい」
「著者に共感し」
「解決策があると知り」
「他の人も成功したと知った」状態。
つまり「で、結局この本には何が書いてあるの?」という気持ちが最高潮になっています。
ここで本書の価値を明確に提示します。
・どんな内容が書かれているか
・どんな順番で学べるか
・読み終えたときに何が手に入るか
◯ 実例
本書では、電子書籍副業の始め方を、ステップごとに丁寧に解説しています。
「何を」「どうやって」「どの順番で」行えばいいのか。
ゼロからでも着実にスタートできるノウハウを、余すことなくお届けします。
ここで大事なのは、「あなたの番です」というメッセージを込めること。「僕や他の人が成功したこのノウハウを、今度はあなたにお伝えします」この言葉で、読者は「自分も次の成功者になれるかも」と感じます。
【記入欄】O:本書のオファー
・どんな内容か:
・どんな順番で学べるか:
・読み終えたとき何が手に入るか:
R:最後の一押し ― 読み進める動機を与える
最後は、読者の行動を促す一押しです。
・「この本を読みながら、ぜひ一つでも実践してみてください」
・「行動した人だけが、未来を変えられます」
ポイントは、「読まないと損だ」と感じてもらう一文を置き、
最後は次のページにつながる前向きな言葉で締めること。
◯ 実例
さあ、次のページから、あなたの人生を変える第一歩を踏み出していきましょう。
このひと言で、読者の指は自然に次のページをめくります。
【記入欄】R:最後の一押しの一文
著者紹介の組み立て方 ― 実績先出しで信頼を得る
PASTORの後に続けて入れるのが、著者紹介です。 ただ淡々と自己紹介すると読者は飽きるので、実績を先出しし、その後に共感ストーリーを入れる構成がおすすめです。
1.インパクトのある実績(冒頭):「この人の話は聞く価値がある」と思わせる
2.かつての自分の悩み:すぐに弱さを開示して、人間味を添える
3.ビフォーの状況:過去がどれだけ苦しかったかを具体的に
4.転機・学び・行動:何がきっかけで変わったのか
5.今の状態と読者へのメッセージ:現在地と、なぜこの本を書いたか
6.読み方のガイド:本書の章構成と読み進め方を案内
◯ 実例(冒頭の実績先出し)
申し遅れました、僕は、すがけんと申します。
これまでに100冊以上の電子書籍をプロデュースしてきました。
でも、最初からうまくいっていたわけではありません。
以前の私は、何をやってもうまくいかない、ごく普通の会社員でした。
この「実績先出し → 共感 → 読み方ガイド」の流れで、読者は「この人みたいになりたい」と「自分にもできるかも」を同時に感じます。 権威性と親しみのバランスが、最も取りやすい構成です。
【記入欄】著者紹介を順番に埋める
・① インパクトのある実績:
・② かつての自分の悩み(弱さの開示):
・③ ビフォーの状況:
・④ 転機・学び・行動:
・⑤ 今の状態と、なぜこの本を書いたか:
・⑥ 読み方ガイド:
⚠️ ジャンルによる注意
「実績先出し」は実用書で特に効きます。
ただしエッセイ・体験談では、実績の押し出しはむしろ逆効果になることがあります。
これらのジャンルで読者が求めるのは「すごい著者」ではなく「自分と同じ目線の語り手」だからです。
エッセイ・体験談では、実績は控えめにし、②〜⑤の共感ストーリーを厚くするほうが響きます。
「はじめに」を書く順番のコツ
PASTORは、上から順に書く必要はありません。 書きやすいところから埋めて、最後に並べ替えてもOKです。
特に、本文とおわりにを書き終えた今なら、
・S(ストーリー)とA(共感)は、おわりにや第1章で書いた内容を土台にできる
・O(オファー)は、実際に書き上がった本文の構成をそのまま予告できる
ので、ゼロから考えるより、はるかにラクに書けるはずです。
「本文で実際に書いたこと」を、はじめにで先に予告する
この意識を持つと、本文と一貫した序章になります。
書いたあとの自己チェックリスト
・読者の悩み(P)から始まっているか(いきなり本の説明・自慢から入っていないか)
・A・Sで、「かつての自分」という弱さを見せられているか
・Sの転機が、劇的すぎず「自分にもできそう」と思える等身大か
・T(証言)は、ジャンルと状況に合っているか(1冊目なら省略可、エッセイ・体験談なら共感ベースに)
・O(オファー)で、本書の中身・順番・得られるものが明確か
・R(最後の一押し)が、次のページへつながる前向きな言葉で終わっているか
著者紹介の実績は、ジャンルに合った押し出し方になっているか
本文・おわりにと内容が一貫しているか(最後に書いたからこそ確認できる)
まとめ
「はじめに」のコツは、ひとつです。
読者の悩みから始め、「自分のための本だ」と思わせる。
PASTORの順番(問題提起 → 共感 → ストーリー → 証言 → オファー → 一押し)に沿って書けば、
読者の感情は自然に「読み進めたい」へ動きます。
そして著者紹介は、実績先出しで信頼を得てから、共感で親しみを添える。
最後に、いちばん大事なことを。
「はじめに」は、本文とおわりにを書き終えてから、最後に書く。
一発で完璧を目指さず、まず型に沿って書いてみて、そこからブラッシュアップする。
それが、結果的にいちばん速く、いちばん刺さる序章への近道です。