⑬ 装飾とカッコの使い方を統一する(編集・装飾のとき)
装飾とカッコの使い方を統一する
― 太字・色・ハイライト・カッコ・背景色・枠線を、一冊を通して一貫させる ―
なぜ「装飾のルール」を決めるのか
電子書籍を書いていると、文字を目立たせたい場面が出てきます。
太字にしたり、色をつけたり、カッコでくくったり。
ところが初心者ほど、これを気分で、適当につけてしまいます。
あるページでは太字で強調し、
別のページでは色文字で強調する。
カッコの使い方も、その場の感覚でバラバラ。
これをやると、本全体に「統一感のない、素人っぽい印象」が生まれます。
読者は、はっきりとは気づかなくても、
無意識に「なんとなく読みにくい」と感じてしまうのです。
だからこそ、装飾の使いどころを、最初にルールとして決めておく。
そして、一冊を通して、そのルールを一貫させる。
これだけで、本の印象がぐっとプロらしくなります。
このテキストは、その「装飾の統一ルール」です。
自分なりに迷ったら、ここに戻ってきてください。
大原則:装飾は「絞るほど」効く
個別のルールに入る前に、すべての装飾に共通する、いちばん大事な原則をお伝えします。
装飾は、使いすぎると効果がなくなる。絞るほど、際立つ。
考えてみてください。
ページ全体が太字だらけだと、どこが重要なのか分からなくなります。
太字だらけのページは、太字がまったくないページと、同じなのです。
色も、ハイライトも、枠線も、同じです。
「全部目立たせる」は「何も目立たない」と同義。
装飾は、「ここが大事」という信号です。
信号だらけの道路では、どの信号も意味を失います。
本当に目立たせたいところだけに絞る。
これが、すべての装飾の鉄則です。
迷ったときは、「つけない」を選ぶ。
装飾は、足し算ではなく引き算で考えてください。
大前提:スマホで読まれることを想定して編集する
装飾のルールを決める前に、もう一つ大事な前提があります。
この本は、基本的に「スマホ」で読まれる。
今、電子書籍の多くは、スマートフォンの読書アプリで読まれています。
だから編集も、スマホの画面で見たときに読みやすいかを基準に考えます。
・装飾が、スマホの小さい画面でうるさく見えないか
・1行の長さ、改行のタイミングは、スマホで読みやすいか
・色や装飾に頼らなくても、スマホで意味が伝わるか
執筆中・編集中は、できるだけ実際にスマホの画面で確認しながら進めましょう。
パソコンの大きな画面では気にならない装飾も、スマホでは過剰に見えることがよくあります。
⚠️ 重要な注意:Kindle端末では「色」が出ない
ここは必ず知っておいてください。
Kindleの電子書籍リーダー端末(電子ペーパーの端末)は、画面が白黒です。
つまり、文字に色をつけても、ハイライトや背景色を使っても、その端末では色が認識されず、
すべてグレーの濃淡になってしまいます。
スマホやタブレットのカラー画面なら色は見えますが、白黒端末で読む読者には届きません。
だからこそ、次のルールを徹底します。
色や背景色は「あくまで補助」。色が消えても意味が通るように書く。
たとえば「重要な部分を赤文字にする」だけでは、白黒端末では伝わりません。
「重要な部分は太字にし、必要なら色も足す」というように、色がなくても成立する装飾(太字など)を主役にし、色はおまけと考えてください。
① 文字の装飾(太字・色・ハイライト)
目的
・キーワード・重要ポイントを目立たせる
・単調な流れを防ぎ、文章にリズムをつくる
使い分けルール

ポイントは、太字を装飾の中心に据えること。
太字は白黒端末でもしっかり効くので、いちばん信頼できる強調手段です。
色文字とハイライトは、太字を補助する「おまけ」の位置づけ。
色が消えても意味が通る状態を保ってください。
そして大原則のとおり、どれも使いすぎないこと。 1ページに強調が何か所もあると、強調の意味がなくなります。
② カッコ類
カッコは、種類ごとに役割を決めて、一貫して使い分けます。

使い分けの考え方
・日常の会話・発言・強調 → 「」(かぎかっこ)が基本
・作品名・書名 → 『』(二重かぎかっこ)
・「」の中で、さらにカッコが必要なとき → 内側に『』を使う
・英語・Web文章の引用 → “”(ダブルクォーテーション)
・””の中で、さらに囲みたいとき → 内側に”(シングルクォーテーション)
迷いやすいのは「」と『』の使い分けですが、会話や強調は「」、作品名・書名は『』と覚えておけば、
ほとんどの場面で困りません。
一冊を通して、この使い分けを統一してください。
(※引用としてカッコを使う場合は、「引用と画像の正しい使い方」編の引用ルールもあわせて確認を。)
③ 背景色
目的
・本文の流れとは独立した「特別な情報」を区別する
・読者の目を休ませるポイントをつくる
使い分けルール

淡い色は「ちょっと別枠の情報ですよ」という穏やかな区切り、
強い色は「ここは要注意!」という強い信号、と役割を分けます。
⚠️ ただし、白黒端末では背景色も出ません。 背景色は「スマホ・タブレットで読む読者向けの補助」と考え、背景色が消えても、文章だけで意味が通るようにしておいてください。
(たとえば、注意喚起なら「⚠️注意」という言葉を添えるなど、色以外の目印も併用する。)
④ 枠線
目的
・本文とは別枠で整理したい情報を提示する
・ビジュアル的にメリハリをつくる
使い分けルール

枠線は、白黒端末でも比較的見えやすいので、背景色より安全に「別枠感」を出せます。
「ここはまとめだな」「これはチェックリストだな」と、読者がひと目で分かるように、
同じ用途には同じ枠線を使って統一しましょう。
装飾ルールの一貫性チェック
装飾は「決めたルールを、最後まで貫く」ことが何より大切です。 書き終えたら、次を確認してください。
・太字を装飾の主役にしているか(色だけに頼っていないか)
・色・ハイライト・背景色が消えても、意味が通るか(白黒端末対策)
・スマホ画面で見て、装飾がうるさくないか
・どの装飾も使いすぎていないか(絞れているか)
・カッコの使い分け(「」『』”””)が、一冊を通して統一されているか
・同じ用途の背景色・枠線は、同じスタイルで揃っているか
・注意喚起などは、色だけでなく言葉や記号でも目印をつけているか
まとめ
装飾ルールのコツは、2つです。
① 装飾は、絞るほど効く。迷ったら「つけない」
② スマホ前提で編集し、色が消えても意味が通るようにする。
太字を主役に、色やハイライトはおまけ。
カッコは種類ごとに役割を決めて統一。
背景色と枠線は、用途ごとにスタイルを揃える。
そして、白黒端末でも届くように、色に頼りきらない。
装飾は、上手に使えば本の読みやすさを大きく高めますが、適当に使うと逆効果です。
「決めて、絞って、貫く」
この3つを守れば、あなたの本は、見た目もプロらしい一冊になります。